クリスマス

ふと回想から覚めると、鏡台の鏡に映る今の私と目が合った。

子供達が出て行ってしまってから、家の中はひどく静かになった。

そして私は歳を取った。


外はもう日が暮れ始めている。

今日はクリスマスイヴなのに、何も特別なことなんて起こらなかった。

あぁ、違う。

起こらないのなら、自分で起こしてしまえば良いのよね。


私は鏡台の前にキチンと座り、化粧品を持ち出して久しぶりに綺麗にお化粧をした。

普段より少しだけ濃いけれど、変じゃないわよね?

服を着替え、身だしなみを入念にチェックして私は街に出た。
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