太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
第五章 厳冬の風は絡まった結び目を優しくほどく

父と母と/side麻依

…11月ともなると、さすがに夜は冷えるな…
もうちょっと暖かいコートにすれば良かったかな。


お通夜の残業を終えて、これから諒の家で夕飯を一緒に食べる約束をした。

諒は10分位前にホールを出たから、もうそろそろおうちに着く頃かな?
ふふっ、楽しみ。


社員専用駐車場に差し掛かると二人の男性らしき人影が見え、少し近付くと何か話してる様だった。


ここの駐車場の街灯は防犯も兼ねてやたら明るく、人が通ると普通に目立つ。

なので、その人達の邪魔にならないようにコソッと自分の車へ向かっていたところ、男性の声が耳に入ってしまった。

「…遠慮することはないよ、私にとって息子みたいなものだからな、リョウくんは」

…リョウくん?

その言葉についそちらを向いてしまった。


「あれ、諒…」

そこにいたのは先に行ってたはずの諒で…内心驚いたけど、それは見せないようにした。

「あっ麻依ごめん、俺んち先に行っててくれる?」
「うん、わかった。そうするね」

それだけ言葉を交わすと、相手の方をじろじろ見るのも失礼と思い、目線を下げて会釈すると踵を返した。

すると…


「…麻依?」

なぜかその男性に名前を呼ばれ…
そして私も違和感なく振り向いた。


「えっ…」


「麻依なのか?」

と私に問いかける、明るい街灯に照らされたその男性は…


「…お父さん…」


それは母と離婚して、出ていった父…だった。


「えっ!? 麻依!? お父さん!??…義信さん、どういう事!?」

諒が驚きを隠さずにお父さんに詰め寄ってる。

ヨシノブさんて…
あぁ…お父さんで間違いない。


でも、何で諒と一緒にいるの…?
知り合いなの…?
さっき…諒を息子みたいなものだって言ってたけど…どういう事なの…?


頭の中でいろんなものが、ぐるぐるぐるぐると巡る。


「ごめん、諒…今日は帰るね…」

「…麻依…」


ちょっと何も考えられなくて…一人になりたかった。


足早に車に向かい、車の中で激しく打つ鼓動が落ちつくのを待って…自分の家に帰った。

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