太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
☆おまけのおはなし☆

~甘く楽しい同棲生活~

これはまだ結婚する前の、同棲してた時のおはなし――

****************

同棲して気付いたこと。
それは、麻依は物持ちがよい、ということ。

まぁ麻依は丁寧に生活する人だから、基本的にはそうだろうなとは思ってたけど、まさかこんなものまで持っていたとは…



ある休みの日のこと。

「麻依、その白T初めて見るね。新しいの?」

「ううん、どっちかっていうと古いよ、ほら」

振り向いた麻依が胸元を指差した。
そこには〝羽倉〞と刺繍がしてある。

「え、もしかして体操着?」
「うん、高校の時の。大きめのだし、まだきれいだから捨てるのもったいなくて。長袖と長ズボンとハーフパンツもとってあるよ。あ、今履いてたんだ」
見ると確かにハーフパンツにも同じ刺繍がしてある。


もう一度麻依の全身を見る。

…高校の体操着を着た、29歳の麻依…

ん…なんだ、この胸のざわざわというかドキドキというか…
高校生とか制服に興味を持ったことなんてないのに、今の麻依の姿にぶっちゃけムラッときた。

「ねぇ麻依、あのさ…髪を結んでみてくれる?」
わぁ!俺、何頼んでんだよ!

「うん、いいよ。1つ?2つ?」
麻依もそれでいいのか!?

「じゃあ…2つで…」
って答える俺も俺だな!

麻依が「高校生の時はこんな感じだったな~」とチャチャっと耳の脇辺りで2つに結んだ。

…高校の体操着を着た、すっぴんで2つ結びの29歳の麻依。

そうか、そうなのか。
麻依の高校生の頃はこんなだったのか…
もう少し幼いだろうけど…

「麻依…かわい…」
「ふふっ、ぎゅってする?」
「や…したいけど、していいのかちょっと…なんつーか高校生に手を出すみたいで…」
「そっか、じゃあやめとこっか。ホントの高校生のコに興味を持ったら…やだもん」

「う…」
そんな可愛いこと言われたらますますぎゅってしたくなるじゃん…

「ならないから…高校生に興味なんて持たないから…俺は麻依しか見えてないから…だからやっぱぎゅってさせて?」
同じ29歳の俺が甘えてみる。

「ん…絶対だよ?若いコに興味持たないでね…」

上目遣いの麻依が可愛すぎて、たまらず抱きしめた。

「はー…もし麻依が同じ高校にいたら、絶対惚れてたよ、俺」
「ふふっ、ほんと?」
「絶対、毎日『麻依先輩~』って追っかけてたよ。トラウマなんて忘れて」
「アハ、それなら嬉しいな」
「それから…放課後の教室に押しかけて壁ドンでキスしたり…体育館倉庫で押し倒しちゃったり…とか?」
「それは漫画の世界だけなんじゃないかな…実際には無理っぽい気が」
「ふ、まぁね。俺だってそんな勇気ないけど。でも今は…違うもんね?もう大人で…ここは家で…」

麻依が赤くなった…てことは、俺の気持ちが目からダダ漏れてんだな。

あ、そーだ。
ちょっと楽しいことやろうっと。


「麻依、こっち来て」

壁際に呼んで立たせると、俺は麻依に向かい合った。

「麻依先輩、好きです。俺と付き合ってください」
「え?えーと…?」
「年下の俺じゃムリですか?」
「え?そそそんなこと」
ここで壁ドン。
「じゃあ…俺にしとけよ、大事にするから」
…ちゅっ

…麻依が、フシューって蒸気が出そうなくらい真っ赤になってる。
ふ、可愛い。


「あ…あの、今のは何だったのかな」
「ん?高校の告白シチュエーションで先輩と後輩バージョン」
「……はぁ…ドキドキした」
「そぉ?」
「うん…諒の壁ドンは威力ありすぎ…冗談でも絶対他の人にやらないでね…」
「するわけないじゃん。てゆーかそんな可愛いこと言ってるとこれ以上のことしちゃうよ?」
「だっダメダメ、これ以上諒の色気にあてられたら…」
「何か困るの?」
「…心臓がもたない…」
「ははは!もー…麻依はほんとに可愛いな!」

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