太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
ひとしきり泣いた月乃さんが顔を上げた。
「諒クン……本当にごめんなさい…」
目は少し赤く腫れているが、どことなく少しスッキリしたようにも見える。
あぁ、あの嫌なオーラがなくなったのかな。
「アタシ…付き合ってる時に諒クンの気持ちがないのはさすがに分かってたわ。…まさか無理に付き合わされてたとは思わなかったけど」
自分の言葉にクスリと笑って言う。
「だから…正直なところね、あのプロポーズみたいな言葉もおかしいとは思ってたの。…でも…信じたかった…アタシを求めてくれるんだって………この世界で生き抜く糧として…信じてた……だからここまで頑張って来られたの」
「靖子……ごめん……」
「ううん……アタシが都合のいい様に勝手に解釈しただけ…アタシがマヌケだっただけよ……でもそれでここまでやってこれたんだから、勘違いしといて良かったのかもね…フフ」
そう自嘲し、月乃さんは正面から麻依を見た。
「麻依さん………諒クンに無理を言った事であなたにもひどい事をしたわ……お腹に赤ちゃんを抱えているというのに不安を煽ってしまって……本当に…ごめんなさい!」
ガバッと頭を下げたと同時にゴンッと大きな音がした。
「痛ッ!」
「あぁっ!…だっ大丈夫ですか!?ちっ血とか出てないですか!?」
麻依が目を丸くしてあわあわと慌ててる。
ふ、可愛い。
てか、ほんと優しいよな、俺の奥さんは。
相手は俺達をあれほど悩ませた張本人だってのに。
「イッタ……」
テーブルに激しくぶつけたおでこを手で押さえながら月乃さんが頭を上げた。
このテーブル…天然木の一枚板っぽいし、しかもかなり厚いもんな…
「脳震盪とか大丈夫ですか?目の見え方とか変じゃないですか?あっ冷たいおしぼり貰ってきますね」
麻依がソファから立ち上がろうとするのを千紗さんが止めた。
「そんなのあたしが行くって」
「千紗、ありがと」
「大丈夫…お二人ともありがとう……イタタ」
「いえ、冷やすだけでも」
「ま、要らなきゃ要らないでいーから」
そう言って千紗さんはさっさとカウンターへ向かい、その間に麻依は月乃さんの額に傷がないか確認してる。