太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
「…ありがとう。腫れてきそうだからありがたく使わせてもらうわね…」
月乃さんはそう礼を述べると、千紗さんの持ってきた氷の入ったビニール袋をおしぼりでくるみ、それをすぐに患部に当てていた。
「麻依さんは…本当に心根の優しい人なのね…」
「はい。麻依は可愛くて優しくて俺を理解してくれる素晴らしい女性です」
「ちょ、諒…」
「…フフ……本当にそうね。さっきも…憎いはずのアタシなんかのために泣いてくれてありがとう…」
「いっいえ……逆に…ご本人の気持ちを知りもしないのに失礼でしたよね…すみません…」
「そちらの…チサさんも…ありがとう…」
「いえ、あたしは何も」
「フフ、諒クンはやっぱりクールだったわね。…もしぶつけたのが麻依さんだったらどうしてたのかしら」
「そんなの救急車を呼ぶに決まってるわ。でしょ?諒くん」
「当たり前じゃないすか!ってか秒でドクターヘリ要請しますよ!な、麻依」
「や、諒…たんこぶ作る位でそれはやめて…」
「そんなのわからないだろ?俺は絶対ヘリ呼ぶからな!」
「あわわ…怒られるってば…」
なんて俺達のやり取りを見ていた月野さんがフッと表情を緩ませた。
「フフ……アタシの長い片想いは粉々に砕けてしまったのに…こんなに幸せそうな諒クンが見られて嬉しいって思うのはなぜかしらね…」
そう呟く月野さんに、麻依が優しく語り出した。
「…きっと、本当の諒が見えたからですよ」
「麻依…」
「諒の良さは外見だけじゃなくて…優しくて、真面目で、一生懸命で、頼りがいがあって、一途で、でもたまにおちゃめで、子供っぽくて、甘えん坊で、かわいくて……ふふっ、もっともっとありますけど、そんな本当の諒が垣間見えたからだと思いますよ」
「麻依さん……フフ…麻依さんも本当に諒クンを愛しているのね…」
「はい。私にとっても生涯を添い遂げる唯一の人ですから。ふふっ」
「まーいー……やべぇ…すげぇ嬉しい…大好き…」
そんなん言われたらぎゅうぎゅう抱き締めちゃうっての!
「あはっ、諒ってば………よしよし」
俺の背中をナデナデしてくれんのがまた嬉し…
「…諒クンが麻依さんを外見だけで選んだんじゃないって、よくわかったわ」
「そーそー、佐伯は顔で選ばねぇから」