本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「今、心電図をとりにいってる患者さんが戻ったら、午前の診察は終わり。今日は循環器外科の担当なんだ。生嶋先生だから進みが早い」

その医師の名に真琴の笑みが固まる。

循環器外科の生嶋修平は花福の訪問販売の常連客で、買ってくれるのはありがたいけれど、商売の邪魔をしたいのかと思うほど話しかけてくるので困っていた。

「鶏飯弁当にする。炊き込みご飯気分なんだ。ん?」

真琴の不自然な笑みに気づいた香奈がどうしたのかと問う。

「あ、なんでもないよ。お医者さんによってそんなに診察スピードが違うのかと思っていただけ。生嶋先生は優秀なんだね」

修平を迷惑に思っていることは、誰にも話していない。

客の悪口を言わないのは花福の決まりごとで、香奈も職場の仲間を批判されたくないだろうと気遣った。

しかし香奈が財布を開けつつ眉根を寄せた。

「生嶋先生は外科医のエースだよ。この前、成功率三十パーセントと言われている難手術を成功させたんだけど、『どこが難しいのか俺にはわからない』と言ったんだって。噂だけどね。診断は的確だし天才外科医と呼ばれてる」

「すごいね」
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