本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
弁当をきれいに並べ直し、空になったフードテナーを台車に戻しつつ真琴は首を傾げた。

(でも生嶋先生は無口じゃない。私には困るくらい話しかけてくるんだけど、どうして?)

修平はこの病院に勤めて二年ほどだ。

真琴との付き合いも同じ年数だが、彼がどういう人なのかますますわからなくなった。

けれども弁当を買いに来る客の人柄まで知る必要はないと、疑問は頭の隅に追いやった。

この病院は七階建てで四階から上が入院病棟になっている。

病棟スタッフにも弁当を売るため移動の準備を始めると、遅れて買いに来た客がいた。

「マコちゃん、待って。遅れてごめん。お弁当を買わせて」

「守也くん! 全然問題ないよ。買いに来てくれてありがとう」

真琴が張りきった声をあげ、満面の笑みを向けた相手は菅内守也(すがうちもりや)、ひとつ上の二十九歳だ。

彼はこの病院の薬剤師をしており、香奈に紹介されて三年前に交際を始め、先週ついにプロポーズされた。

中肉中背の守也は柔和な顔立ちをして、性格も優しく穏やかだ。
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