本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
高身長の真琴には決してできない上目遣いで声の糖度を上げた愛華に、守也の頬が染まった。

「わかったよ、一緒に戻ろう。マコちゃん、それじゃまたね」

「あ、うん。お仕事頑張って......」

背を向けた守也が愛華に手を離すよう注意しているのが聞こえる。

「愛華ちゃん、腕を組むのは駄目だって前にも言って――」

(下の名前で呼んでいるんだ。この前は九波さんと呼んでいたのに。腕を組まれたのは今回が初めてではないんだね。これって......)

ちらりと肩越しに振り向いた愛華に睨まれ、真琴はやっと理解した。

(九波さんは私たちが交際中なのを知っていて、守也くんを狙っているんだ)

どうしようと焦りが湧いたが、病院のロビーで駆け寄って恋人を奪わないでと注意するような度胸はない。

守也だって困るだろうし、商売中の今は呼び止めている時間もなかった。

それで去っていくふたりから視線を外して、自分の左手を見る。

薬指にはめられているのは控えめに輝くダイヤのエンゲージリングで、『僕のお嫁さんになって』という言葉とともに守也から贈られたものだ。

(結婚の約束をしたんだから大丈夫。守也くんを信じよう)
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