本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
焦る心を落ち着かせた真琴は腕時計を確認し、急がなければと次の販売場所に向かった。



四階から順に入院病棟を回り、最上階の七階についたのは十二時二十分だった。

このフロアは他の階より狭く、エレベーターホールを境に循環器の外科と内科、二病棟がある。

エレベーターホールの隅で台車を止めると、すぐに病棟スタッフたちが集まってきた。

看護師に看護助手、病棟クラークの女性たちが十数人、弁当を買って戻っていくと、静けさが戻る。

(今日は買いに来ないのか)

真琴が気にしたのは修平だ。

心臓血管外科医である彼はいつも、循環器外科病棟のあるこの階で花福の弁当を買う。

もちろん毎日というわけではないが、先ほど香奈が午前の外来診療は終わったようなものだと言っていたので、きっと来るはずだと身構えていた。

肩透かしを食らった気分で息をつく。

(せっかく対策を考えてきたのに)

無駄になったと残念に思いつつ店じまいを始めたら、エレベーターの扉が開いて修平が現れた。

薄緑色の手術着のような上下に裾が長い白衣を羽織り、窓からの日差しにまぶしそうに目を細めている。
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