本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
ルックスがよく独身の外科医ともあれば、女性人気が高くて当たり前だ。

看護師が目をハートにして見つめていたり頬を染めて話しかけたりと、これまで訪問販売してきた中でそれを感じる場面は多々あったが、守也と交際中の真琴が修平に胸をときめかせることはなかった。

「いらっしゃいませ」

真琴は商売人として笑みを作って迎えたというのに、修平は不機嫌なのかと思うほど愛想のない顔をしてフードテナーを覗き込んだ。

「今日はやけに品揃えが悪いな」

残っているのはボリュームのある弁当が三種類と、サンドイッチと焼きそばだ。

「品目を減らさなければならないような危うい経営状況なのか?」

淡白な声で不躾な質問をされ、真琴は内心ムッとした。

「生嶋先生、売り切れ間近にやってきてなにを言うんですか。今日は二十二種類のお弁当を準備してきました」

「そうか。経営が順調でなによりだが、俺はこの後、長時間オペを控えている。腹持ちしてなおかつ胃に負担が少なく、眠気がささない弁当がほしかったんだが残っていないのか」

昨日も似たような文句を言われ、弁当屋として客の要望に応えられない悔しい思いをした。
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