本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
「まんぷくちゃんはすごいな。こいつの口数を増やす技をぜひ伝授してくれ」

「花福です。私はなにもしていません。生嶋先生が普段は無口なのだと言われても、不思議に思うだけです」

真琴が困り顔で肩をすくめると、関根が修平の背をバンバンと叩いた。

修平が痛そうに顔をしかめたように感じたが、変化というにはあまりに微かなので気のせいかもしれない。

「ほらな、やめてくださいとも痛いとも言わない。術式の相談や医療指示が必要な時には口を開くけど、絶対に雑談には応じないんだよ。うちの美人のワイフの可愛いドジっぷりを話しても、天使みたいな愛娘のパパ大好きエピソードを聞かせてやっても相槌すら打たない。修平はつまんない男だよ」

「そ、そうなんですか」

関根の話は続く。

連日、修平の腕頼みの難手術をこなしているというのに疲れた様子を見せたことはなく、入院患者の容体が急変して三晩徹夜が続いた時も平気そうに日勤業務にあたっていたそうだ。

「ここだけの話、修平はサイボーグなんだ。機密情報だから内緒で頼むな」

人差し指を口にあてた関根が、真琴にズイと真顔を寄せて言った。

(サイボーグ、なるほど)
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