本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
いつもの守也なら真琴が寝不足になるからと気遣って遅い時間からのデートには誘わない。

けれども今日の夕方に届いたSNSアプリのメッセージには『どうしても今夜会って話したい』と書かれていて、真琴は頬を染めた。

最近は恋人らしい時間を過ごせなかったので、真琴に会いたくて我慢できなくなったと思ったからだ。

(女らしさに欠ける私でも求めてくれるのが嬉しい。私も早く会いたい)

急に恥ずかしさが込み上げて頬が熱くなり、想像してしまった彼との情事を消そうと頭を振る。

真琴の交際経験は守也のみなので、二十八歳になっても心にウブな部分が残っていた。

待ち合わせの店は和食居酒屋で、通路の最奥にあった。

ここは初めて来る店で暖簾をくぐって引き戸を開けると、「らっしゃい!」と威勢のいい声がかけられた。

七席のL字カウンターがあり、その内側で紺色の作務衣姿の店員たちが調理したり、ドリンクを用意したりしている。

テーブル席はふたり掛けが六つと、ボックスシートの四人掛けが三つ。

通路は狭く他の客に会話が筒抜けになりそうで、メニューに焼き物が多いのか少々煙たく服に匂いがしみつきそうだ。
< 31 / 211 >

この作品をシェア

pagetop