本能のまま、冷徹ドクターは新妻を愛し尽くす
(来る途中に偶然会って、どうしても一緒に食事がしたいと言われたのかも。守也くんは優しいから断れなかったんだよ、きっと)

「お待たせ。九波さんも一緒とは思わなかったから驚いた。どうしてなのか、聞いてもいい?」

なるべく優しい口調で問いかけたのに、守也はビクッと肩を揺らして目を泳がせた。

「そ、それは後で話すよ。まずは座って。なに飲む?」

テーブルには守也の空になったビールジョッキと半分ほど入った愛華のカクテルがあり、冷めた焼き鳥が二本と食べ終えた串が数本、枝豆の殻や空になった皿ものっていた。

一時間ほど前から先に来て食事していたような雰囲気だ。

来る途中に偶然会ったからというわけではないとわかり、真琴の不安が膨らんだ。

(守也くん、説明してくれないと疑ってしまうよ)

浮気の可能性がよぎったが、婚約者を信じたいという気持ちが強く結婚前に余計な波風が立つのも嫌なので、真琴からはそれ以上問いかけることができなかった。

守也の向かいに座りコートを脱ぐとすぐに店員が注文を取りにきて、守也はビールのお代わり、真琴はレモン酎ハイを頼んだ。
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