双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
『じゃ、これから一緒にメシ食いに行こう』
「は? なんでまた」
『暇なんだろ? 場所は表参道。乗り換えなしで来れるだろ? 着いたら連絡ちょうだい』
「えっ、ちょっ」
 一方的に決められてしまった。ロック画面に切り替わったスマートフォンを見ていると、新着メッセージを受信する。
【一時集合。時間厳守】
「一時ィ!?」
 つい心に留めておけず、口から漏れ出てしまった。
 準備時間、三十分もないじゃない!
 海斗の連絡により、ゆったり過ごしていたのに急に慌ただしくなった。
 その後、私は最低限の準備をして、急いで駅へと向かった。

 海斗とは、お互いに東京で暮らし始めてから、大体ワンシーズンに一度は顔を合わせている。なんとなく、『元気かな?』と感じる頃に、どちらからともなく連絡をし合ってご飯を食べるような感じだ。
 ベタベタするほど仲が良いわけではないが、良好な関係だとは思っている。神奈川にいる両親も、私たちが定期的に交流しているのを知っているから安心しているらしい。
 表参道駅に着いて海斗に電話をかけると、駅から近い商業ビルの五階にあるレストランへ来るよう指示が出た。
 お店に着いてスタッフに話をすると、すぐに案内される。
「あ、来た」
 テラス席に座って軽く手を上げる海斗と合流し、向かい側に腰を下ろした。
「もう。なんなの、急に」
「まあほら。これメニュー。好きなの頼んでいいよ」
 海斗にメニューを渡されたものの、釈然としない。
 私はメニューを閉じたまま、海斗をジッと見る。そして、理由を閃いた。
「あ! もしかして、誕生日祝ってくれようとしてる?」
 私の誕生日は六月九日。今日はまだ四日フライングだけど、銀行員の海斗も会社員の私も平日は仕事だから休日に誘ってくれたんだ。
 海斗は私の言葉を受けて、照れ隠しからかややぶっきらぼうにメニューを開いた。
「ほかになんの理由があるんだよ。早く注文するもの決めて」
 海斗のこういうところは、本当父親譲り。父もいつも記念日には母にケーキや花を買ったり、私たちが大きくなってからは外食にいったりしているもの。きっとそういう姿を見て育ったから、自然と行動に移せるんだ。
 下心なくこういうことをしてくれるから、女の子にモテるのだろう。我が弟ながら感心してしまう。
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