密かに出産するはずが、迎えにきた御曹司に情熱愛で囲い落とされました
静止した透真さんが一瞬ぱちりと目を見開き、それから崩れるようにして私の体に覆い被さった。

抱きつかれる直前、すぐ近くで見えた透真さんの頬が、紅潮していたような気がする。

「俺はじゅうぶんだから、これ以上煽るなよ」

肌を密着させたまま、ゆっくりと動き始めた透真さんは徐々に律動のスピードを上げていく。比例して私の矯声も大きくなり、部屋中に響いた。

「春香」

両腕で私の顔をがっちりと挟み、耳もとでささやかれると、身も心も透真さんのものになったんじゃないかと錯覚して、気持ちよさとうれしさに体が震えた。
迫りくる快楽と胸にグッとこみ上げてくる感情に耐えきれず、透真さんの背中に両腕を回してキツく抱きつく。

口内を舌で侵食する濃密なキスをして、はあっと息を乱す透真さんの顔つきが苦しげに歪む様子に、私はこのうえない喜びを覚えた。
私がそうさせているという、夢みたいな状況に涙があふれ、目尻から流れ落ちる。

今日で最後。明日からは赤の他人。

そう思うと胸が苦しくて、私は一晩中、空が白んで眠くなるまで透真さんを求めた。



< 38 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop