冷厳な不動産王の契約激愛婚【極上四天王シリーズ】
私がテナント側ならそうする。


いろいろ納得しながら、作業を続けた。

指示されたものを作るという受け身な作業ではあるけれど、実はかなり勉強になる。

秋月さんが私にこの作業をよく振ってくるのは、そうした意図があるのではないかと思っている。


「できた」


没頭していたら、いつの間にかフロアには誰もいなくなっていて、時計は二十時四十分を指していた。

帰っていく部員たちに「お疲れさまでした」と事務的に声をかけていたけれど、まさか最後のひとりになっていたとは。


「片づいてる」


ふと浜野さんのデスクに視線をやると、ファイルの山がなくなっていた。

整理整頓が苦手なのは間違いないが、単に忙しくて片づける暇がないのかもしれない。

でも、もっと忙しい秋月さんのデスクはきれいなままか……。

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