冷厳な不動産王の契約激愛婚【極上四天王シリーズ】
そんなことを考えながら、うーんと伸びをして、同じ姿勢での作業だったせいで固まっていた筋肉をほぐそうとした。


「肩こり、治らないな」


デスク仕事が続くと、肩から背中にかけての筋肉がガチガチになり、少し動かしたくらいではこりがほぐれない。

肩こりがひどいと頭痛まで引き起こしてしまうのでなんとかしたいと、右手で左肩を揉み始めた。


すると部署の入口のドアが開く。
もう誰もいないと思い込んでいた私は驚いて目を向けた。


「お疲れさまです」


入ってきたのは秋月さんだ。


「お疲れ。終わったか?」
「報告書は終わりました」


今日任されたBOE分析のほうは資料の読み込みすらできていないので、なんとなく小声になる。


彼は近づいてきて、なにも言わずにアイスコーヒーを私に差し出した。

隣のビルの一階に入っている『プレジール』というシアトル発のコーヒーショップのものだ。

< 16 / 38 >

この作品をシェア

pagetop