カレンダーガール
その後、当たり障りのない会話を楽しくした。
おうちで飼っている犬の話や明日鷹の子供の頃の話など、2人で笑いあった。

そして、2時間ほど経った頃、
「桜子さん。私も主人もあなたと明日鷹の出した答えを受け入れるつもりよ。どんな結果であってもね。でも、子供は森の家の子供として育ってほしいの。そのことは聞き入れてもらえないかしら」
そう言うとお母様が頭を下げた。
私は何も答えられなかった。

自分のお腹の中で育つ命をつい自分の物ように思いがちだけれど、半分は明日鷹の遺伝子。
もちろんお金や家柄が全てだとは言わないけれど、子供の将来を考えれば、どこで育つのがベストなのか明らかで、お母様の言い分も一理ある。
さすがに子供を取り上げる気はないだろうけれど、諦める気はないと言われたようで固まってしまった。
私は、自分が置かれている現実を思い知らされた。


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