スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 ホッとしすぎて身体から力が抜けてしまった。そんな凪沙を見て、スタッフが声をかけてくる。

「お部屋の準備が整っております。ご案内いたします」
「いや、二人で向かうよ。ありがとう。そして、手間をかけてすまなかったね」
「いえ、とんでもございません。どうぞ、素敵な夜を」

 そう言ってカードキーを悠真に手渡してきた。それを受け取ったあと、彼は凪沙の腰に腕を回してくる。

 スタッフたちに声をかけたあと、リザーブした部屋へと向かう。その途中で、彼は優しい声色で聞いてくる。

「誤解は解けたかな?」
「はい……すみません」
「じゃあ、仲直りでいいかな?」
「はいっ!」

 ようやく安堵して返事をしたのだが、彼はなぜか急に妖しげな色気を振りまいてきた。そして、耳元で囁いてくる。

「でも、まだ一つだけ解決していない問題があるんだよ? わかるかい?」
「えっと?」

 彼に対しての誤解が解けた今、これといって二人を切り裂くような問題はなかったと思うのだが……。
 首を傾げて不思議がっていると、ちょうど部屋の前に到着した。

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