マーメイド・セレナーデ
店頭に置く、雑誌の買い込みを任されて近くの本屋に走りこむ。

出版されたばかりのファッション雑誌を幾冊も買い込み、店に帰ろうとしたとき店の一角に設置された旅行関係の雑誌が目に入った。


まだ夏には程遠くて、けれど毎日の陽射しの強さにうんざりとしてきたから必然的に手が伸びるのは避暑地の観光ガイド。
パラパラとページを流す。

高地や山間の冷涼な気候を売りにした特集、または大型テーマパークの特集か殆どを占めるなか、大都市関係の雑誌はひっそりとそこに在る。いつでも行けるから、とくに期間を決めて売り込むことはしないみたい。

どうしてそこにしたのかしら。
旅行に行くと言われたとき、舞い上がってしまって深く考えることはしなかったけれどこうやって少し冷めた目で見てみれば、なぜ、どうしてという疑問が湧いてくる。


どうせなら人の少ないところで2人のんびりしたかったわ。



本当にどうしてわざわざ東京なのかしら。
同じような考えのもと、似たような観光名所を行くのはどこか腑に落ちなくて今からでも遅くないかも、と浮かんだ想いに雑誌を数冊手にとってしまった。
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