マーメイド・セレナーデ
「欲しいと思わないから、いいの。出来なくたって」

「おかしいよ、やっぱり」

「そういうヒカルはどうだったの?」

「うーん、まあ一応今度2人で会おうって言われたけど、……ねえ真知?本当に鉄平さんに興味なし?」



隣に座るヒカルは昨日の可愛い女の子らしさを醸し出していたメイクから一転、落ち着いたメイクになっている。
こういう使い分けって重要なのかしら。

興味ないわ、そう告げるとお決まりの台詞が返って来た。
けれど残念、あたし鉄平さんの連絡先もなにも知らないの。ヒカルに紹介しようと思っても出来ないの。

チャイムが鳴って一斉に一つしかないドアに群がる人をぼんやりと視界に入れて、それでもまだヒカルはお願いとあたしに頼んでいた。

頼んだってなにもあたしからは出てくることはないの。



「ヒカル、本当に興味がないの。だから携帯の番号もメアドも知らないわ。聞きたいとも思わなかったし、聞かれなかったのよ」

「……真知って、ホントおかしいよ」



雑誌をバッグに直すヒカルを横目にバイトだからといつまでも付きまといそうな年下のヒカルを置いて講義室をあとにした。
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