マーメイド・セレナーデ
「……た、……うた!翔太!」

「あ?」

「どうしたの、ぼんやりしてる。ほら、ボタン押して。もう降りるとこ過ぎちゃったよ」

「え、あぁ。悪い」



見れば、いつも降りる畦道は後ろにあった。
ずっと外を見ていたのに、忘れるくらいに考えに囚われて抜け出せない。

真知は考えてるんだろうか。
本当に、さっき言ったみたいに将来なんて考えずに、ただぼんやりと幼いころ交わした約束をずっとずっと守ってるのか。
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