マーメイド・セレナーデ
ここを出て行く若者が多い中で、俺が考えることはなんだかおかしいんじゃないかと思うときもある。
ずっと、なんて不確かなものを信じ続けること、俺にはできそうになかった。



ほとんど物が入っていないバッグを放り投げてベッドに雪崩れ込んだ。
うつ伏せに倒れこんで、スプリングで何度か身体が跳ねたあと、俺は固く目を閉じて考える。


俺の未来ってなんだ。
将来はどうなってる。


考えても無駄なことをどうやっても知りたくなってしまう。
自分の思考に囚われて、堂々巡りをしていることに呆れのため息をついて、俺は考えるのを放棄した。
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