マーメイド・セレナーデ
「文化祭の出し物だってね」

「知ってたのか?」

「みんな知ってる」

「……トップシークレットだったらしいけど」

「翔太のこと、みんな見てるから」



みんな見てる。
当たり前のことなのに、真知から言われるとどうもうまく自分に馴染めない。



「ねぇ、進路調査はどうした?あたし、結局家業手伝いって書いたんだけど……」



第3希望まである調査票、俺は第1希望しか書かなかった。
もう、決まっていた。

カチリカチリ、と何かがずれて行くように思えた。
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