御曹司様はあなたをずっと見ていました。


なんと進一郎さんの計らいで、身内や親しい者だけで行う結婚式を、おばあちゃんの入院している病院で行うことになったのだ。
私がいないうちに、進一郎さんはいろいろ考えてくれていたようだ。


そして、今日は久しぶりにおばあちゃんのお見舞いに来ていた。
おばあちゃんには心配を掛けないように、私が刺されたことは内緒にしてあるのだ。

「おばあちゃん!久しぶり…なかなかお見舞いに来れなくてごめんね。」

すると、おばあちゃんはいつも通りの優しい笑顔を見せてくれた。
体調も良さそうで安心した。

「梨沙、…いいのよ、私のことは心配いらないわ…お仕事忙しいのでしょ。」

「…うん。…でも、一段落したから大丈夫だよ。」

結婚式の話は、おばあちゃんを驚かすために、当日まで内緒にすることにした。
なんだか、おばあちゃんの驚く顔が楽しみに思えてくる。


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