年下御曹司の箱入り家政婦
「櫻ちゃんの気持ちに応えられる保障なんてないよ...?
櫻ちゃんをもっと傷つけることになるかもしれないよ...?それでもいいの?」
これで諦めて引き下がってくれるなんて更々思ってはいないけど、私は櫻ちゃんを傷つけたくない。
愛情の種類さえ違えど
櫻ちゃんが大切なのは私も同じなのだ。
もし私が期待に応えられなかったら...
櫻ちゃんにもその時の覚悟を持っていてほしい。
「うん。分かってる。
羽菜ちゃんを惚れさせれば何の問題もないんでしょ?」
あっけらかんと答える櫻ちゃん。
「うーーん...
いや...まあ、それはそうなんだけど.....」
櫻ちゃんの揺るぎない自信にもうこれ以上話をしても、話は平行線のまま交わることはないだろうと察してきた。
そして、一人色々考えすぎてることが
馬鹿馬鹿しくも思えてきた私は
「あーーもう、分かった!
これから、櫻ちゃんと向き合って
ちゃんと考えるから!!」
後先考えず叫んでしまった。
「ほんと!!!!やったー!!
ありがとう羽菜ちゃん!!」
そう言ってテンションMAXの櫻ちゃんは
ガバッと勢いよく私を抱き締めた。
「わぁ!?」
私は後ろに倒れそうになり
思わず櫻ちゃんの背中に手を回して
ギュッとしがみついた。
抱き締め返した羽菜に櫻介の身体がピクッと反応する。
すると、先ほどまでテンションの高かった櫻介が急に静かになり羽菜を抱き締める腕を緩めて距離を取ると羽菜に背を向けた。
そして、額に手を当て何やら考え込んでいる。
「えっ?櫻ちゃん今度は何??」
しかし、櫻ちゃんからは何の返答もない。
一体、何なの...?
背を向けたままの櫻ちゃんの様子がおかしくて横から覗き込もうとするが、バッと羽菜から顔を反らされる。
「僕、やっぱり今日はもう
自分の部屋に戻るね。
これからちゃんと僕と向き合うって約束
忘れないでね!
じゃあ、おやすみ!!」
そして、顔を背けたまま窓から自分の部屋へと走って帰ってしまった。
嵐のように去っていく櫻ちゃんの背中を見つめながら私はその場で呆然と立ち尽していた。