年下御曹司の箱入り家政婦
こうして日々、
私を巡っての奪い合戦が
繰り広げられている。

ある時は、
「僕、大きくなったらママと結婚する」
と嬉しそうに語る玲央のその一言から戦いは始まった。

私は可愛いくてその小さな体をギュッと抱きしめる。

しかし、それを見て黙っていない男がいる。


「玲央、残念だけどママはもう
パパと結婚してるからそれは無理だよ。
玲央は別の女を見つけないとね」

櫻ちゃんは大人げなく玲央に向かって
ニコリと微笑んだ。

「じゃあ、パパとリコンして僕と結婚すればいいよ」

玲央は私に抱き着いたまま
櫻ちゃんにひとこと言い放つと
プイッとそっぽを向いた。

「離婚って?!
お前どこで覚えたんだよ?」

「おばあちゃんのハンリュウドラマ」

「母さん、何を子どもに見せてんだよ」

櫻ちゃんは「ったく」と額に手を当て
ため息をついた。
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