原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
『乙恋』でのグレンジャーはどちらかと言えば、ネガティブなキャラだったのだが、13歳の彼は明るい少年だった。

 友人も口数も少なくて、前髪を伸ばして特徴的な赤い瞳を見せたがらない、いつも下を向いている陰気な魔法使い。


 それがグレンジャー・オルコットなのに、実際の彼は良く笑い、自分からクラスメートにどんどん声をかけるようなキャラに豹変していた。


 周囲の人間からの注目を避けるように隠している設定の赤い瞳を、アピールするように短くした前髪を更にかきあげて
『他の誰も持ってない赤い瞳だぞ、俺だけのチャームポイントだ、って女の子達も言うしさ』なんて笑うのだった。


 ミシェルとは直接言葉を交わしたくないけれど、彼女の情報が欲しいのもあったし、他にも確認したい事もあって、お喋りなグレンジャーと親交を持っておこうと計算して友達になったのに。

 彼との時間が楽しすぎてそれだけではなくなっていた。

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