原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 今夜、あの狸親父がウチに戻ってきたら。
 オスカーとの関係やら魔法をかけた理由やら。  
 洗いざらいを、グレンジャーは聞き出すつもりだ。


 そして明日はオスカーに見つからないように、彼の後をつける予定だ。


 ◇◇◇


 アビゲイルとのお茶会を終えて、帰宅したロザリンドが夕食も摂らずに早い時間から眠る、と部屋にこもったのは。


 アビゲイルが『前世の記憶を失っていくかもしれない』と、話したことで。
 自分が今思い出せるものを全て書き出しておこうとしたからだ。


 一分一秒が惜しくて。
 迎えに出てきてくれたオスカーにも何も言わずに部屋へ直行した。
 義兄に声をかけられて返事をしなかったのは初めてで、オスカーも驚いたと思う。


(……ごめんね、オスカー。
わざとじゃないつもりだけど、やっぱりわざとかな)

『結婚して』と、勇気を出して告白したのに。
 兄妹だとか焦ったらダメだとか。

 はっきりと『嫌だ』とは言われてないけれど、私は傷ついているアピールをしてみたのだ。
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