原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 絶対に返す気の無いまとまった額のお金を要求
されて、ウェズリーは彼女のたくましさに呆れ、だが可笑しくて笑ってしまった。


 そうだった、ミシェルは何度も俺を笑わせてくれた。
 可愛いだけじゃなくて、彼女と居ると俺は楽しかったから、惹かれたんだった。


「いいよ、貸してあげるよ。
 でも今は手持ちがないから、ウチへ取りに戻ろう。
 一緒に来るかい?
 君が行く街まで送るように、ウチの御者に申し付けてあげるよ」


 自分が振った男に堂々とお金を貸してくれと言うふてぶてしさとこの美貌があれば、ミシェルは
どこへ行っても何とかやっていけるような気がする。


 噴水のへりからミシェルに手を貸して立ち上がらせ、彼女のバッグを持った。
 たが、もうエスコートの手は差し出さない。

 それに気付いたミシェルが少し寂しげに見えたが、今度は見ていない振りが出来た。



「ウェズリー、あれ……」

 歩き始めようとすると、ミシェルが向こうを指差した。
 そこには人混みの切れ目から見えたオスカーとロザリンドの姿があった。


「なんだよ、あいつら……ラブラブなの?」
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