原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 ……ホナミは暗い道を手探りで進んでいるような気がした。

 早く、早く逃げないと。
 彼に直ぐに追い付かれてしまう。
髪を掴まれて……
 全てが終わると、彼はさっき掴んだ髪を優しく
撫でた。


『ホナミの髪はとっても綺麗だね』

 うっとりする様な美しい微笑みをするひと。



 その微笑みを歪めた時。
 彼が豹変する時。
 恐怖で身体がすくんでしまって、ただただ身体を丸めて嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。


 彼に対して言いたいことが言えたのは、最初の3ヶ月だけ。
 夢見るような時間を3ヶ月、彼は与えて。
 ホナミが自分に夢中になると、彼は豹変するようになった。
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