原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 その感触が、忘れられず。
 つい、彼の唇を向かい側から目で追ってしまう。



( まるで初めて彼氏が出来た中学生みたい。
いい年してみっともない……) 


 ロザリンドは照れて、そう自分に突っ込んでから気が付いた。
 自分の中にホナミが、前世の26歳の彼女の記憶が流れ込んでくる。


( どうして……今、記憶が戻ってきて……る?)


 徐々に失い続けていたあの頃の景色が鮮やかに脳内に甦っていた。
 だからなのか、と思い出した。
 オスカーと対峙していたあの男を、直ぐにダンカンだとわかったのは。
 チカ先生の描いた彼とは違うなんて、ごく自然に感じた。

『チカ先生』『乙花』の記憶が戻っていたのだ。

 自分がそうなら、同じ様にアビゲイルも?
 目の前のオスカーも?


 ウチに帰ったら、直ぐにアビゲイルに手紙を出そう。
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