原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 彼女に前世の記憶がまだ戻っていないとしても『コルテス侯爵令嬢』とふたりで会ったことは覚えているはずで、時間が取れれば面会してくれるだろう……


 考え込んでいたロザリンドに、オスカーが尋ねた。


「グレンに会ったことはある?」

「いえ、お顔は存じ上げていますけれど」


 ロザリンドには高等部から魔法科に進んだ友人は居なかったので、魔法科校舎に立ち入ったことも無かった。

 ホナミが書いていた物語上では、グレンジャーや他の攻略対象者達はミシェルと王太子の交際が始まっても彼女の側に付いていたが、この世界の彼等は既にミシェルとは離れていた。

 それでグレンジャーが普通科の校舎に姿を見せるのも稀で、特にその存在を気にしてはいなかったのだ。


「……楽しいヤツだから、気を遣わなくていいから」


 同乗している侍女の耳を気にしているのか、オスカーはそれ以上は話さなかったが、初めて会う義兄の友人に彼は自分をどう紹介してくれるのだろう、とロザリンドは思った。


 義妹? それとも……恋人?

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