原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
( 初対面の相手に怒鳴るような性格のヒロインにしていないのに?)

 彼女は転生した日本人だ、とウェズリーから聞いていた。
 だから、多少の性格の違いは想定していた。
 ロザリンド自身も作品内のおとなしい侯爵令嬢ではないように。



 作品のファンだと言うので、例のファンミに参加して自分と同じように事故死して転生したのだ、と思っていた。
 いつか落ち着いたら、自分も転生者だと打ち明けて、日本の話をしてみたい、と思っていた。


 ミシェルは自分のようなモブではなく、正真正銘のヒロインなのだから、喜んでその人生をなぞっているだろうと……


「はっきり言えば? 聞いてやるから!」

「何も言わなくていい、ロージー」


 掴みかからんばかりの勢いのミシェルと、展開に付いていけないロザリンドの間に入ってきたのは、知らない間に側まで来ていた元婚約者のウェズリーだった。


 彼は近くに座っているふたりを見かけて、心配で近づいて来ていたようだ。

『うわっ、修羅場?』と、誰かが声に出して。
 周囲のボルテージも、否応なしに上がってきた。


 そんな衆目が集まるなかで、元カレが元婚約者を庇うように自分を止めた事にミシェルがキレた。
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