原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
「何よ!ウェズリー!
 婚約破棄されたのに、こんな女庇うの?」

「落ち着けよミシェル、どうしたんだよ?」

「もう!全部全部ムカつく!
 この女のせいで!」


 単に自分が見ていたことに腹を立てていたのではなく、ミシェルには何か自分に対して溜まっているものがあって。
 それが今ぶつけられているのだ、とロザリンドは理解した。

 
 そして、私はこんなヒロインを作った覚えはない、と。
 ようやく現実のミシェルと向き合う事にした。


「何を私のせいだと仰っているのか、教えていただけますか?」


 口の悪い下品なミシェルに対して、丁寧な口調で冷静に話したのはわざとだ。
 元平民の貴女と高位貴族令嬢の私は違うのよ、と思い知らせてやりたかったのだ。

 何かの事情があるにせよ、こんな人目のあるところで喧嘩腰になるなんて。
 貴族階級の末席であろうと、男爵令嬢の矜持を持っていて欲しかった。


 もうミシェルのことを、私の可愛いヒロインだとは思えなかった。
 私の婚約者を略奪した女で、これから1番の推しオスカーと恋に落ちる女。


 ……設定だろうが何だろうが、嫌ってもいい相手に思えた。
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