原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 テンプレだから、と安易に彼女を元平民の設定にしたのは自分だ。
 イケメン達を次々と、その魅力で攻略していく
ヒロインミシェルはバラ色の学生生活を送っている、と簡単に思っていた。


 だがミシェルはずっとこの様に、聞こえよがしに出自を罵られていたのだろうか……。
 もしかしたら心優しい設定のイケメン達は、それを気の毒に思ってミシェルの側についていた、としたら?
『攻略』等ではなく、ウェズリーとの『友情』、虐げられていたミシェルへの『同情』だった、としたら?


 周囲から取り巻く様に悪口を言われ、ミシェルは唇を噛んだ。
 ロザリンドに物申すつもりで突っかかって、改めて思い知らされたのだろう。
 この学苑には、自分に味方をしてくれる女生徒がひとりも居ないのだ、と。


「私はこんな、こんな世界に来たくて来たんじゃない……」

「もういいだろ?……行こう」


 ウェズリーはロザリンドに向かって軽く手を上げ、元恋人ミシェルの肩を抱いて、食堂を出て行く。
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