これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
ふと思い出した黒歴史を、こうして再び繰り返しているなんて、私はつくづく成長してない。
溜め息を吐きながら、私はお守りを箱の中に仕舞うと引き出しの中に片づけた。あの指輪、どこに仕舞ったんだったかな……

指輪のことが気になりながらも眠気に勝てず二度寝をしてしまい、次に目が覚めたのは朝の七時少し過ぎ。スマホのアラームのおかげで何とか寝過ごすことなく起きることができた。

昨夜、飲みすぎたせいで少し頭が重い。
二日酔いに似たような感じだ。
でも習慣というものはすごいと思う。こんな状態で思考は全然働いていないけれど、身体はゆっくりと日常動作を取っている。

洗顔の後で着替えを済ませ、化粧や髪型などの身支度を整えるとダイニングへと向かう。
母も、私が朝きちんと食べられそうにないのを見越して、雑炊が用意されていた。

「昨日はちょっとはしゃぎ過ぎたみたいね。弘樹くんと会うのもいいけど、徹也くんと婚約したんだから、変な噂が立たないように行動には気をつけなさいね」

母からの思わぬ苦言に私は箸が止まった。
弘樹とは友達なのに、異性ってだけで何でこんなふうに言われなきゃならないんだろう。

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