地味子なのに突然聖女にされたら、闇堕ち中の王子様が迎えにきました
私が微笑む様子を見ると、ジゼルさんの顔つきが変わった。元々無表情なのが、更に何か深刻そうな顔になる。
「……イヴ、今夜レオがあなたの寝室に行きます」
「は、はい?」
突然、後ろから声をかけられ聞き返すと、こちらを向いてと腰を掴まれジゼルさんに向き合わされる。
「そしたら、キスしてください」
顔色ひとつ変えず信じられないことを言い出すジゼルさんに、思わず素っ頓狂な声が出る。
「へ?」
「うちの作法なのです」
「さ、作法?それはほっぺにでしょうか?」
頬に軽く唇を付ける挨拶程度のものなのか。まさか、
「いえ唇にです」
びっくりして、思わず後ろへ後ずさる。瞬間的にぼっと顔が熱くなった。く、く、くち、びる、といつもの吃音を更に悪化させ、まともに発語できない位狼狽えていると。
綺麗な顔に曇りがさす。
「まさか、嫌という訳では」
「ま、まさか、まさか、というか、でも」
「でも?」
「そんなこととても恐れ多くて、できないです」
「したいかしたくないかで言ったらどっち?」
したいか、したくないかなんて、なんでそんなことを聞くのだろう。
「戦場でキスされたの覚えてる?あの時、どんな気持ちだった?嫌だった?嬉しかった?」
質問の意図が分からなくて、でもジゼルさんは興味本位で聞いている訳でも、からかっている訳でもないのは分かる。
真面目な顔で、真剣に私の気持ちを問いただそうとしている。きっと何かしらの理由があるのだろう、私も恥ずかしがらず素直に伝えないといけない。
「じ、実は、あの時、力がどんどん流れ込んできて、それがなんか心地良くて、でも、あのレオさんと、あれをまたしたいかと言うと。恥ずかしいのと、気持ち良いのと、なんかおかしな気持ちになるというか」
もじもじしながら、精一杯自分の素直な気持ちを伝えると、私の肩をぐっと掴み頭を下げた。
「イヴ、お願いします」
「え?」
「レオ最近調子が悪いようで、今晩その口づけで浄化して頂きたいのです」
浄化……!
ちゃんとした口実があるならできる!
「そ、そういうことなら!」
「でも、きっと本人からは遠慮して言ってこないので、あなたの方から言って欲しいのです」
「わ、わかりました」
了承しておいて、ん?と考える。まさか私からキスを誘えということか。とんでもないことになったと、全身わなわなし出した私に、目の前の美女がトドメを刺してくる。
「今夜もしキスできなかったら、今後もうあなたに笑いかけることはないでしょう」
……もし、キスできなかったら
もう私に笑いかけることはない
「さあ、そろそろ広間へ戻りましょうか」
言い捨てるように私から離れ、戻ろうと促されるが、そんなことを言われて心中穏やかでいられるはずがない。
「な、なんでですか?」
「今の彼を失いたくなかったら、必ず今晩キスしてください」
来た時と同じ足取りで戻るジゼルさん。しかし、自分の足はとてつもなく重く感じられた。
……もう、笑いかけてくれることはない。今の彼を失いたくないなら。ジゼルさんの言った言葉が頭の中でぐるぐる駆け巡る。
具体的にレオさんに何が起こるかは分からないが、今日みたいに話せなくなるのは絶対嫌だ。
それに比べたらキスなんて軽いもの、なはず。でも、どうやって、自分から誘うんだろうと、百面相のように顔を変えながら皆がいる広間へ戻った。
※※※
「……イヴ、今夜レオがあなたの寝室に行きます」
「は、はい?」
突然、後ろから声をかけられ聞き返すと、こちらを向いてと腰を掴まれジゼルさんに向き合わされる。
「そしたら、キスしてください」
顔色ひとつ変えず信じられないことを言い出すジゼルさんに、思わず素っ頓狂な声が出る。
「へ?」
「うちの作法なのです」
「さ、作法?それはほっぺにでしょうか?」
頬に軽く唇を付ける挨拶程度のものなのか。まさか、
「いえ唇にです」
びっくりして、思わず後ろへ後ずさる。瞬間的にぼっと顔が熱くなった。く、く、くち、びる、といつもの吃音を更に悪化させ、まともに発語できない位狼狽えていると。
綺麗な顔に曇りがさす。
「まさか、嫌という訳では」
「ま、まさか、まさか、というか、でも」
「でも?」
「そんなこととても恐れ多くて、できないです」
「したいかしたくないかで言ったらどっち?」
したいか、したくないかなんて、なんでそんなことを聞くのだろう。
「戦場でキスされたの覚えてる?あの時、どんな気持ちだった?嫌だった?嬉しかった?」
質問の意図が分からなくて、でもジゼルさんは興味本位で聞いている訳でも、からかっている訳でもないのは分かる。
真面目な顔で、真剣に私の気持ちを問いただそうとしている。きっと何かしらの理由があるのだろう、私も恥ずかしがらず素直に伝えないといけない。
「じ、実は、あの時、力がどんどん流れ込んできて、それがなんか心地良くて、でも、あのレオさんと、あれをまたしたいかと言うと。恥ずかしいのと、気持ち良いのと、なんかおかしな気持ちになるというか」
もじもじしながら、精一杯自分の素直な気持ちを伝えると、私の肩をぐっと掴み頭を下げた。
「イヴ、お願いします」
「え?」
「レオ最近調子が悪いようで、今晩その口づけで浄化して頂きたいのです」
浄化……!
ちゃんとした口実があるならできる!
「そ、そういうことなら!」
「でも、きっと本人からは遠慮して言ってこないので、あなたの方から言って欲しいのです」
「わ、わかりました」
了承しておいて、ん?と考える。まさか私からキスを誘えということか。とんでもないことになったと、全身わなわなし出した私に、目の前の美女がトドメを刺してくる。
「今夜もしキスできなかったら、今後もうあなたに笑いかけることはないでしょう」
……もし、キスできなかったら
もう私に笑いかけることはない
「さあ、そろそろ広間へ戻りましょうか」
言い捨てるように私から離れ、戻ろうと促されるが、そんなことを言われて心中穏やかでいられるはずがない。
「な、なんでですか?」
「今の彼を失いたくなかったら、必ず今晩キスしてください」
来た時と同じ足取りで戻るジゼルさん。しかし、自分の足はとてつもなく重く感じられた。
……もう、笑いかけてくれることはない。今の彼を失いたくないなら。ジゼルさんの言った言葉が頭の中でぐるぐる駆け巡る。
具体的にレオさんに何が起こるかは分からないが、今日みたいに話せなくなるのは絶対嫌だ。
それに比べたらキスなんて軽いもの、なはず。でも、どうやって、自分から誘うんだろうと、百面相のように顔を変えながら皆がいる広間へ戻った。
※※※