その溺愛は後出し不可です!!
心の準備ができないまま、約束の土曜は容赦なく訪れる。
アパートの前まで車で迎えにきた昴は、助手席に座る果歩の指に指輪が嵌められていないことに目敏く気がついた。
「この間買った婚約指輪はつけてきてないのか?」
「な、なくしたら困りますもん!!」
「なくしたらまた買うさ。だからつけたところを見せてくれよ」
「善処します……」
また買うなんて気軽に言わないで欲しい。あんな見せ物のような気恥ずかしい思いをするのは一度で十分だ。
「どこに行く予定ですか?」
「特に決まってない。山でも海でも。それか、またジャンケンで決めるか?」
果歩は慌てて首を横に振った。
「もうジャンケンはこりごり……。しばらくやりたくない」
すっかり青褪める果歩を見て、昴は声を上げて大笑いした。
「果歩なら特別に後出しでも許すよ。あ、でも後出しでも負けてたな」
昴は思い出したよう吹き出した。
初勝負の時は果歩が鈍臭いばかりに、後出しを使っても昴には勝てなかった。