その溺愛は後出し不可です!!

「それで、どこに行くか決まったか?折角の初デートなんだし遠慮なく言ってくれ」
「デートだったの……?」
「デートじゃないなら何なんだよ?」
 
 男女が二人きりで出掛けるとなるとデートには違いない。
 仕事上、昴と二人きりで出掛けることも多い果歩には直ぐにデートという発想にならなかっただけだ。

「希望がないなら家デートってことで俺の部屋に行くけどいいか?」
「はい……」
「スーパーに寄った方がいいよな?朝飯用の食材を調達しないとな。何を作るつもりだ?」
「えと……フレンチトーストを……」

 折角作るなら美味しい物を食べさせたくて、レシピサイトで事前に作り方を調べておいた。

「美味そうだな。果歩の飯食べるの久し振りで楽しみにしてたんだ」

 WOnderのプロトタイプを開発する最中、買い出しに行く手間を惜しむ三人の胃袋を満たすのは決まって果歩の役目だった。
 会社が大きくなり、手料理を振る舞うことはなくなったが、どうやら昴の中では果歩の料理は美味しいと刷り込まれているらしい。
 
< 31 / 42 >

この作品をシェア

pagetop