その溺愛は後出し不可です!!
「果歩、いつものように勝負しよう。もし、果歩が勝ったら果歩の好きにしていい。その代わり、もし俺が勝ったら今から果歩を抱く」
「抱くって……」
「果歩のつけてるリップが全部剥がれるぐらいキスして、柔らかい身体にある黒子の数をひとつずつ数えながら、一晩中俺と気持ち良いことするって意味だけど?」
昴は果歩の羞恥心を煽るようにわざと露骨な表現を使った。
具体的な行為を列挙され顔が真っ赤になる。
出来ることなら耳を塞いでしまいたい。しかし、それは昴が許さないだろう。
「もっと具体的に言って欲しい?俺とセ……」
「結構です!!」
これは罰だ。果歩だけに課される甘い罰だった。
「可愛い寝顔に免じて我慢したけど、その後綺麗さっぱり忘れられるくらいならあの時抱いておけばよかったな」
「あの……昴くん、実はすごく怒ってる……?」
「当たり前だろう?こっちは両想いだって勘違いしていた挙句にプロポーズを突き返されてるんだぞ」
「ごめんなさい……」
ジローさんの嘘つき……!!
大概のことは笑って許してくれる昴でさえもプロポーズを断られておかんむりになっている。
果歩は平身低頭ひたすら謝るしかない。
最初から最後まで果歩一人が大きな勘違いをしていた。昴は言葉でも態度でも果歩が好きだと伝えていてくれたのに。
「果歩こそ教えてくれよ。あの夜、言ったことは嘘?冗談?寝ぼけてただけ?俺のことは眼中にない?」
果歩はぶんぶんと首を横に振った。何を言ったか覚えていないけれど、昴に対する気持ちに偽りはない。
「果歩の口からもう一度聞きたい」
「す、昴くんのことがずっと……ずっと好きだった……」
「よく出来ました」
優しいキスが果歩の瞼、目尻、耳たぶ、頬と徐々に下へと降りて行き、最後にはそっと唇に到達する。
「どうする?ジャンケンもしとく?」
「後出しでもいい……?」
後出しで負けるのは果歩の得意技だ。昴は破顔した。
「あんまり可愛いこと言うなよ。手加減できなくなる」