その溺愛は後出し不可です!!

 二人で熱い夜を過ごした翌朝。
 昴の部屋のキッチンはバターが焦げる香ばしい匂いに包まれていた。

「果歩、腹減った」
「もうすぐ出来るから!!もうちょっと待っててくれる?」

 果歩はベッドで過ごそうと甘い誘いをかける昴を振り切り、色々あって反故になっていたフレンチトーストを作っていた。最後の仕上げにメープルシロップをかけ、サラダとドレッシングも添える。
 出来立ての一皿をウッドテラスに持って行くと、テーブルの上には既に昴が淹れてくれた熱々のコーヒーが置かれていた。
 コーヒーは果歩のリクエストだ。

「美味しい……」

豆は市販の物を使っているのに専門店で飲むのと同じくらい美味しい気がする。メープルシロップがかかった甘いフレンチトーストと一緒に飲むとまた格別だった。

「ねえ、美味しく淹れるコツとかあるの?」
「知りたい?」
「うん。教えて」
「やっぱりダメ。企業秘密」
「じゃあ、ジャンケンに勝ったら教えてね?」
「ずるいなあ。果歩には敵わないよ」

 昴はそう言うと風に吹かれて巻き上がる果歩の髪をそっと撫でた。

「いつ、婚姻届出しに行く?」
「気が早いよ」
「早いことなんてない。俺も十年待ったからな」
 
 昴はそう言うと胸ポケットから随分とくたびれた婚姻届を取り出した。
 証人欄には風間と篝の名前が記載されている。あとは果歩の署名さえあればいつでも提出できる。
 驚く果歩に昴が笑って言う。

「さあ、果歩。ジャンケンをしよう」


おわり

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