円満夫婦ではなかったので

◇◇◇

スマートフォンの画面を難しい顔で眺めていた瑞記は、背後からポンと肩を叩かれびくりと体を震わせた。

驚き振り返ったが、すぐに目元を和らげ白い歯を見せて笑う。

「驚かせないでくれよ」

「何度も声をかけてるのに無視するからよ。そんな真剣に何を見ていたの?」

瑞記は笑みを引っ込め、眉を下げる。

「君は気にしなくて大丈夫だよ。仕事関係じゃないから」

瑞記の言葉に、彼女は僅かに首を傾げた。

「ということは、奥さんからかな?」

そう言いながら瑞記が座っていたソファーの背後から周りこみ、当たり前のように隣に座る。

「プライベートの内容なのかもしれないけど、そんな暗い顔をされたら気になるよ。だって瑞記は私の大切なパートナーだからね」

そう言って覗き込んで来た彼女の顔には、心配だという感情がありありと浮かんでいる。

「なんでも相談に乗るから遠慮なく話して?」

優しく微笑まれると、瑞記の心を覆っていた不快な感情がすっと消えていく気がした。

「ありがとう。希咲がいてくれて本当によかった」

「あれ? 今頃気付いたのかな?」

いたずらっぽい笑みを向けられて、瑞貴もつられて頬を緩めた。
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