円満夫婦ではなかったので
なんとも言えない気持ちになった。
目の前にいる男性が悪いとは言い切れない。
彼にだって事情があるのだろう。
だからといって、理解出来ると言えるほど園香はできた人間ではない。
「……名木沢さんを責めるのは違うと分かっているんですけど、夫婦間で解決して欲しかったです」
「そう思われて当然だと思う。迷惑をかけて悪かった」
「あなたに謝って欲しい訳じゃないですけど……でもどうして考えが変わったんですか? 以前私が連絡をしたときには、迷惑そうにしていたと思うんですけど」
日記には、名木沢に迷惑そうにされたが、なんとか会う約束を取り付けたと書いてあった。
当時の憔悴して周囲への配慮が疎かになっていた園香が感じるくらいだから、相当素っ気ない対応をされたと想像できる。
「あのときは申し訳なかった。そのうえで正直に言うと、当時は本当に面倒だと思っていた」
驚くほどに正直な返事だ。園香は毒気が抜けていくのを感じて小さな溜息を吐いた。