円満夫婦ではなかったので
その後、希咲の提案で社名は【TKワーク】に決定した。
初めはなんでもいいと思っていたが、ふと自分の名前を入れるのもいいかもしれないと思い立ったのだ。
冨貴川のTと希咲の旧姓である小金井のKを合わせた社名だ。
冨貴川ワークよりもずっといい。
会社は瑞記の人脈と希咲の神楽グループのコネにより、かなり順調にスタートした。
元々デザインの仕事を希望していた希咲は結構真面目に働き、瑞記との関係も、ビジネスパートナーとして理想的なものだった。
ところが起業して一年後に、瑞記が親の紹介で見合いをしたと言い出した。
相手は空岡園香。希咲が大嫌いだったあの女だ。
不快感が押し寄せて来たが、瑞記の前ではなんとか平静を装った。
『瑞記がお見合いか~それでどうだったの?』
『素敵な人だったよ。ソラオカ家具の社長令嬢だから、上から目線で何か言われるかもしれないって警戒していたけど、穏やかな人だった。それに正直な人だった。見合いは親に頼まれたからで、まだ結婚は考えてないって言われたよ』
『ええ? それは瑞記に対して失礼じゃない?』
『いや、変に気を遣われるよりはよかったよ。僕も同じ気持ちだったし。でも園香さんと話してたら、もう少し彼女のことを知りたくなったんだ』
瑞記は照れくさそうに、頭を掻く。希咲の気分は下降し続ける。