円満夫婦ではなかったので

「来月から横浜の展示場で働くと聞いた」

「ああ、お父さんから? そうなの。契約社員って形で時短勤務なんだけどね」

「仕事が始まる前に一度会えないか?」

「いいけど、いつ?」

「出来るだけ早く」

なぜか分からないが、かなり急いでいる様だ。

「それなら今日の夜は? これからちょっと用があるんだけど、六時過ぎには空くから」

「分かった。時間の目途が立ったら連絡する」

「了解」

彬と電話を切ると、園香は違和感のようなものを覚えて顔を曇らせた。

なんとなくだが彬の様子がおかしかった気がしたのだ。はっきりと何がおかしいと言えないのだけれど。

(まあ、会ったら分るでしょ)

園香は考えるのを諦めて、急ぎ足で駅に向かった。

思いがけずに彬と会う約束をしたので、急いで買い物をしなくてはならない。

ショッピングセンターに着くと、園香はざっとフロア内の洋服店を見回し、それからてきぱきと必要なものを選んでいった。
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