円満夫婦ではなかったので
考え込んでいる園香に、瑞記が言い募る。
「はあ……もういい加減にして欲しい。僕は自分の仕事で精一杯なんだよ。家庭のことで煩わせないで。こんなことが続くようなら離婚も考えるから」
うんざりとした気持ちが込められたその言葉に、園香は勢いよく顔を上げた。
瑞記と目が合うと、彼はにやりと得意げな笑みを浮かべる。
「分るよ。離婚は嫌だろ? だったら……」
瑞記がそれまでとは打って変わった上機嫌で言葉を続けようとする。けれど。
「離婚でいいわ」
園香は瑞記の言葉を遮り、宣言した。
「……は?」
瑞記が口を開けたまま何度も瞬きする。
(もう我慢できない。離婚になっても仕方ない)
今日の日中までは離婚の決意は出来ていなかった。
だけど、下に見られて、園香を思い通りにする為に離婚をチラつかせる瑞記を見ていたら、もういいやと思ってしまった。
(むしろ、離婚したい!)
周りから悪く言われる可能性はあるが、それは甘んじて受け入れる。
一度口に出したら、止まらなくなった。
「瑞記は私のことが気に入らないみたいだし、でも私は自分を曲げて瑞記に合わせることが出来ない。お互いの為にも別れた方が良さそう。離婚に同意します」
園香が堂々と告げると、瑞記は予想以上に激しく動揺した。
顔色を変えて、落ち着きなく視線を彷徨わせる。