円満夫婦ではなかったので

もし初めにそのような約束をしていたのだとしたら、瑞記が不満に思うのも頷ける。勝手に仕事を決めた園香が悪い。

「言ったかどうかまでは覚えてないけど、僕が仕事はしないで欲しいって言ったら、分かったって辞めたんだ。納得していたってことだろ?」

「……私は瑞記の意向で退職したのね」

「そうだけど、無理強いはしてない。園香は嫌がってなかったよ。今みたいに僕に逆らわなかった」

園香は目を伏せた。

結婚をしたのは今から八カ月前。結婚の話合いをしたのは恐らくそれより前。

(当時の私の考えを知りたい)

瑞記が無意識に口にする、“逆らわなかった”や“僕は絶対反対”は上から目線で、園香を下に見ていて、不快でしかない。

結婚前に隠していたとしていも、性格というのはふとした拍子ににじみ出るものだ。

(瑞記は感情的なところがあるから、完璧に隠していたとは思えないもの)

今、彼のよい面を見つけられない。どうして結婚を決意する程好きになったのか。

(……まさか、脅されていたとか、弱みを握られていたってことはないよね?)

そんな考えが浮かんだが、すぐに打ち消す。

彬人が、園香の方が結婚に乗り気で急いでいた様子だったと言っていたことを思い出したからだ。

となるとやはり瑞記が変化したのか。

結婚していざ生活してみると合わなくて、瑞記が園香を嫌になったのかもしれない。
正直な彼はその気持ちを隠せず、酷い態度を取るようになった。
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