円満夫婦ではなかったので
幸せな夢を見ると起きたときにがっかりする。

「おはよう」

けれど今朝は特別だ。目覚めてからの方が幸せを感じるのだから。

「希咲……おはよう」

瑞記は満たされた想いで希咲の体を抱き寄せた。

「ふふ、瑞記ったら朝から積極的ね」

そう言う希咲も瑞記の首に腕を回し、頬にキスをしてくるのだから、どちらが積極的なのか分からない。

「どうしたの? ニヤニヤしちゃって」

揶揄うような甘い声。

「ニヤニヤなんてしてないよ。ただ幸せだなと思っただけだ」

「私も幸せだよ。ずっとこのまま過ごしたいよね」

「ああ」

瑞記は希咲の髪に指を差し入れる。サラサラした髪を撫でてから、昨夜何度も触れた唇を塞ぐ。

「んっ……」

希咲も応えてくれてふたりの熱は高まり続け、収まりがつかなくなっていく。

朝の光が届く部屋で、一晩では物足りないとばかりに身体を繋げだ。
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