円満夫婦ではなかったので
「お待ちしておりました。私は販売促進部の青砥(あおと)と言います。富貴川さんは私の業務を引き継いでもらうことになります」
「はい。よろしくお願いいたします」
「こちらこそ。まずはオフィスに案内しますね」
青砥の後に続いて従業員用出入口から中に入る。
出入口付近は照明が絞っているため暗く殺風景な印象だった。廊下の先にはごく普通のデスクが六台と、大きなフリーデスクが置いてあるオフィス。その隣には商談などを行う応接ルームというつくりだった。
青砥に案内されて、ショールームの責任者とその他スタッフに挨拶をする。責任者は四十代前半の男性で腰が低い態度だった。
もしかしたら園香が経営者の家族だから気を遣っているのかもしれないが、第一印象では元々穏やかな性質な人だと感じた。
「富貴川さん、オープン前にショールームの方を案内しますね」
「はい」
青砥に声をかけられて移動する。
ショールームはオフィスよりも明るく開放的。家具を良く見せる効果があるモダンなつくりになっていた。
受付コーナーの隣には園香の身長と同じくらいの高さの、ロボットが置かれていた。
アニメのキャラクターのような外見で、胸の位置には大きなモニターがついている。
「ああ、これは受付ロボットです」
園香の視線に気付いたのか、青砥がそう言いながら、受付ロボットの画面に軽く触れた。
するとぱっと画面が明るくなり、welcomeの文字が表示される。